確定申告の際には源泉徴収票・源泉徴収簿の数字の意味を正しく理解しておくことで申告ミスを防げる場合があります。本ページでは源泉徴収票・源泉徴収簿の見方を纏めます。源泉徴収票・源泉徴収簿の主要な項目について説明します。前提として一般的な企業に勤めるサラリーマンを前提とする記述になっています。

本ページの情報の鮮度は令和2年分の確定申告に対応しています。

用語

所得税

源泉徴収簿の「差引課税給与所得額」に対して掛ける税金。税率は年収ではなく「差引課税給与所得額」で決まる。また、”算出された所得税から”の控除も税率と共に定義されている。

「差引課税給与所得額」が695~899.9万までは所得税率は23%、「算出された所得税から」の控除は63.6万です。330~694.9万までは20%で控除は42.75万です。

計算例:
源泉徴収簿の「差引課税給与所得額」が4460,407円の時は、
4460407 * 0.20 – 42.75万 = 464,581.4円
10の位は多分切り捨てるので464,500円が算出所得税額

参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

源泉徴収票の項目一覧

支払金額

受け取った給与・賞与の総額。俗に言う年収がこれに当たる。

給与所得控除後の金額(調整控除後)

支払金額から給与所得控除額を引いた金額。

所得控除の額の合計額

「源泉徴収票の社会保険料等の金額」と「源泉徴収票の基礎控除の額」を合算した金額。源泉徴収簿の「給与所得控除額」とは異なるものであるという点に注意して下さい。

計算例:

  • 「社会保険料等の金額」:1172,837円
  • 「基礎控除の額」:480,000円
  • 「所得控除の額の合計額」: 上記合算で1652,837円

課税徴収税額

実際に支払った所得税(= 所得税 + 特別復興税)の金額。源泉徴収簿の「年調年税額」に一致します。

基礎控除の額

所得税計算の際に受けれる「支払金額」から差し引ける控除のこと。「基礎控除の額」は「支払金額」によって違います。年収2400万以下では48万円です。

参考:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1199.htm
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/01.htm

源泉徴収簿の項目一覧

源泉徴収税額

給与からその年(年初~年末)分の税金を給与から予め天引きした金額。年末調整で多くとり過ぎた分が還付されます。12月の給与明細に年末調整還付金という名目で還付されるはずです。

給与所得控除額

所得税率を掛ける前に「源泉徴収票の支払総額から」控除できる金額。控除額は「支払総額」によって違います。以下、一部例を挙げます。

  • 660万超、850万までは収入金額 * 10% + 110万円が控除額
    計算例:年収(=源泉徴収票の支払金額)が800万の場合
    800 * 0.1 + 110 = 190万円が控除額

NOTE: 令和2年に控除額がまた減らされました。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

差引課税給与所得額

所得税率が掛けられる金額。具体的には源泉徴収簿の「控除後の給与額」から源泉徴収票の「所得乗除の額の合計額」(= 源泉徴収簿の「控除額計」)を差し引いた金額のことです。

参考:所得税は年収ではなく諸々控除された後の「差引課税給与所得額」によって決まる点に注意。

算出所得税額

「差引課税給与所得額」に所得税率を掛けた金額のこと。この金額には特別復興税は含まれていない。

住宅借入金等特別控除額

住宅ローン減税により還付される金額。

参考:住宅ローン減税とは住宅ローンの借入残高の1%、源泉徴収簿の「算出所得税額」、1年の住宅ローン最大控除額(40万または50万)のうち何れか少ない金額が所得税から還付される制度

年調所得税額

「住宅借入金等特別控除額」を差し引いた金額。

年調年税額

源泉徴収簿の「年調所得税額」に特別復興税(2.1%)を掛けた金額。源泉徴収簿の「源泉徴収税額」の合計額から「年調年税額」を差し引いた金額が年末調整で還付される金額となる。12月の給与明細に年末調整還付金という名目で還付され、その金額と一致する。